子どもの頃から楽器を演奏することも歌を歌うことも大好きでした。
今は聴くことばかりですが、音楽を聴いていると翼が生えたように気持ちが上がっていきます。
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小学校の頃作曲の募集があり、無邪気だった私は早速楽譜を書いて応募しようとしました。すると先生の呼び出しをうけ放課後の音楽室でピアノに向かいながら先生の加筆修正がはじまったのです。私の提出したものは確かに基準を満たしていなかったのですが、それを修正されることには納得がいかず、子どもながらに悔しさと情けなさで泣きながらその時間を過ごしました。
音楽の先生はとても綺麗で優しく、音楽が好きな私のことを良く褒めてくれた人でした。
「これでどう?こんな感じで」と私を抱き抱えるようにして楽譜を書き換えていきました。
あの頃にもっと言葉を知っていたなら自分の気持ちを上手く説明できたのに。
納得がいかないまま先生が編曲したその楽譜が提出され、他の生徒が受賞しました。
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後々厳しかった担任の先生にも「音楽の先生が親身になってくれているのに泣いて困らせた」と叱られました。
母親はこの先生との面談(この頃は親と先生の二者面談がありました)で私が「出来ないことをやろうとする」つまりは実力がないくせに前に出ようとするでしゃばりなところを何とかした方がいいと強く言われたそうです。厳しかった母親にも「あなたのせいでひどく言われた」と何度も責められました。
何年かして落ち着いた母から「あなたを叱ったけど、出来ないことにチャレンジするのはいいことよね、あなたに悪いことした」と言われて、複雑な気持ちになったことを覚えています。
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あの時「これは私の曲じゃないです、応募しません」と言えたら良かった。
こうして目立ちたがりやの私は少しずつ影をひそめ表現することを諦めていきました。
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私は子どもの頃の記憶がとても鮮明に残っています。風になびく木綿のカーテン、パンチングの壁、グランドピアノ。
そこには小さな私とセピア色の劣等感だけがあるのです。